先進医療フォーラムは、安全で効果の高い最先端の診断・治療法を紹介します
 
     
安全で最も効果の高い最先端の診断・治療法はどのようなものか?先進医療フォーラムでは、国内外の先進医療に関する情報を収集・分析し、臨床現場への普及を促進するとともに、関係学術団体や研究会等を支援する活動をしていきます
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生殖医療についての最新の診断・治療方法をご紹介します。

    吉村 泰典 : 慶應義塾大学医学部産婦人科 教授
        「 先端生殖医療 の現況と課題」

 


1978年、英国のエドワードとステプトーが世界で初めてヒトの体外受精・胚移植に成功し、ルイーズ・ブラウンが誕生した。その後、この生殖医療技術は瞬く間に全世界に普及し、生殖医学や生命科学の大きなブレークスルーが起きた。

これら生殖医療技術の普及は、卵管性不妊のみならず、男性不妊や原因不明不妊のクライエントに大きな福音をもたらしている。医療技術にはさまざまな点で改良が加えられ、現在では顕微授精法の確立により一個の精子が見つけられれば理論的には妊娠できるようになってきている。
わが国においても、体外受精関連技術で出生した児は、2006年には総出生児数の1.8%を占めるまでになっている。

わが国においては、生殖補助医療について法律による規制はなされていないが、日本産科婦人科学会の会告に準拠し、医師の自主規制の下で、配偶者間および非配偶者間の人工授精や夫婦間の体外受精が限定的に行われてきた。
しかし1998年以来、兄弟姉妹の精子や卵子を用いた体外受精、第三者からの卵子提供による体外受精、妻の妹や母親による代理懐胎の報告が相次いでみられるようになっている。
2008年には日本人夫婦がインド人女性に代理出産を依頼したが、子どもが生まれる前に離婚したため、子どもが国籍のない状況に陥った事態も起きている。インドでは貧しさを背景に、商業主義的な代理懐胎が水面下で拡大されているとされ、女性の搾取に日本人が加担していることは悲しむべきことであるとの指摘もみられる。

このように、わが国の生殖医療をめぐる現状は社会に着実に普及している一方、その急速な進歩によりそれを適正に実施するための整備が不十分であり、発生する様々な問題に必ずしも対応することができない状況にある。
本講演では、生殖医療の進歩とその問題点について概説する。
 

【略 歴】  
氏 名
吉村 泰典(よしむら やすのり)
履 歴

1975年 慶應義塾大学医学部卒業
1981年 生殖内分泌学で医学博士を取得
1983年より米国ペンシルバニア病院でresearch fellow
1984年より米国ジョーンズホプキンス大学でinstructor
1986年より藤田保健衛生大学医学部産婦人科講師
1990年より 杏林大学医学部産婦人科助教授
1995年より慶應義塾大学医学部産婦人科教授

現 職
日本産科婦人科学会理事長
日本生殖医学会常任理事
日本産科婦人科内視鏡学会常任理事
日本生殖内分泌学会理事
日本受精着床学会理事
日本哺乳動物卵子学会理事
日本女性心身医学会理事
日本専門医制評価・認定機構理事 など
学会外活動
厚生科学審議会委員
法制審議会委員
文部科学省科学技術・学術審議会専門委員
内閣府総合科学技術会議専門委員
日本学術会議生殖補助医療の在り方検討委員会委員 など
専 門
生殖生理学、不妊症学、臨床内分泌学

 

 
 
 

 

 
 



 
 
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